2000年11月27日
出光石油化学、来年度SPSコンパウンド販売は1万トン見込む
PSアロイなど新規用途開拓進む/引き続きエンプラアロイも検討
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:出光興産

 出光石油化学のSPS(シンジオタクチックポリスチレン、商品名:ザレック)は、今年6月に発表したPS(ポリスチレン)とのアロイなどにより新規用途開拓が進んでおり、来年度の販売はコンパウンドベースで1万トン規模への拡大が視野に入ってきた。また、引き続きエンジニアリングプラスチックとのアロイも検討しており、今後も市場開発を進めていく考えだ。
 SPSは、メタロセン触媒を応用した結晶性のPSで、低比重、高融点(270℃)、耐薬品性、耐加水分解性、高周波特性、メッキ特性、高流動性など、多くの特長を持つ。1985年に出光興産が合成に成功した後出光石化に移管され、1988年から事業化に向けダウ・ケミカルとの共同研究に着手、1996年10月から千葉工場内で5,000トンの実証プラントを稼働させ、1997年春から本格的に販売活動を進めている。
 今年6月には、家電リサイクルを視野に入れた新グレードとして、PSとのアロイである「ザレックE101」をはじめとしたEシリーズ発表した。新グレードは、ABS樹脂の耐薬品性グレードの代替を狙ったもので、SPSを用いることにより耐溶剤性を有し、また既存のPSやAS樹脂、ABS樹脂などの射出成形金型を使用することができる。さらにPS系の材料で統一することが可能なため、家電リサイクルなどの問題へ対応できることも特徴となっている。具体的な用途として、エアコン部品などへの採用を進めているが、すでに数社が採用、需要が拡大している。
 このほかより耐熱性を高めたDシリーズは、PC(ポリカーボネート)あるいはガラス繊維強化PCなどの代替を目指しているが、自動車部品に加え、IT関連ではコネクタなどOA機器の内部部品へも広がりつつあり、早ければ来年2並み3月にもシャーシ用途での採用が始まる見通しとなっている。
 さらに押出・シート分野では、洗剤や化粧品などの薬品への耐性が評価され、浴室や化粧台周りの部品への展開を進めている。
 一方、生産面では、千葉のニートレジン年産5,000トン設備に続いて、今春から旧東ドイツでダウが年産3万6,000トンの本格設備が稼動を開始しており、現在はよりコスト競争力のあるダウの設備からの引取をメインに、千葉の設備で微調整する体制となっている。先に述べた市場開拓により、来年度にはコンパウンドベースで1万トン規模の販売を見込んでいる。
 なお同社はこのほか、以前からエンプラメーカーと共同で、エンプラアロイグレードを検討しているが、今後もこれを継続、新たな需要の開拓を進めていく方針。