2013年09月03日
生物研など、多収イネの光合成能力に貢献する遺伝子特定
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:農林水産省

農林水産省の農業生物資源研究所(生物研)は2日、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)、東京農工大学と共同で、多収イネ品種が持つ、光合成速度を高める遺伝子を世界で初めて特定したと発表した。

穀物の生産性を決定する主な遺伝子のうち、籾の数や穂の大きさなど、炭水化物を貯蔵する能力を決定する遺伝子は近年明らかになってきたが、光合成などの炭水化物を作り出す能力を決定する遺伝子はほとんど見つかっていない。
生物研などの共同研究グループは、日本でトップレベルの収量性を示すイネ品種「タカナリ」から葉の光合成速度を高める遺伝子「GPS」を世界で初めて単離した。

GPS遺伝子は、葉を細くする遺伝子としては既に知られていたNAL1と呼ばれる遺伝子の変異型で、光合成が行われる場所である葉肉細胞の数を増やし、光合成速度を向上させることがわかった。

GPS遺伝子は、1960年代の東南アジアにおける緑の革命に貢献した多収イネ品種「IR8」に由来し、日本に伝わったことがわかった。今回の成果は、多収イネ品種の作出に活用されることが期待される。