2013年09月11日
理研、ラン藻の水素生産量を2倍以上増加させることに成功
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所(野依良治理事長)は11日、光合成を行う微生物「ラン藻」を遺伝子改変することにより、水素生産量を2倍以上に増加させることに成功したと発表した。

水素は、二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーとして、広範な利用が期待されている。現在、主流の水素製造法は、天然ガスや石炭を水蒸気と反応させる「水蒸気改質」であるが、資源の枯渇問題から他の製造法が求められている。このため、生物による水素生産が注目され、とくに光をエネルギー源として水から水素を生産する能力を持つラン藻が盛んに研究されている。

理研では、ラン藻の炭素とエネルギーのバランスを制御するタンパク質「シグイー」が、水素生産に関与する可能性を見いだした。そして、遺伝子改変により細胞内での「シグイー」のタンパク質量を増やすラン藻を作製した結果、水素の生産量を2倍以上に増加させることに成功した。

タンパク質「シグイー」は、バイオプラスチックの生産を促進する因子であることが知られ、水素とバイオプラスチックの生産が同じ因子で制御されているという興味深い事実も明らかになった。今後、ラン藻の水素生産メカニズムの理解を深め、光エネルギーを利用したさらなる水素やバイオプラスチックの増産へとつながることが期待される。