2000年11月21日 |
昭和電工、セラミックス事業の構造改革を推進 |
不採算事業撤退/新製品開発進む |
【カテゴリー】:経営 【関連企業・団体】:昭和電工 |
昭和電工は21日、セラミックス事業の構造改革の進捗状況を明らかにした。同事業は、現在推進中の連結中期経営計画「チータ・プロジェクト」において、技術力を駆使し、高付加価値特殊品に特化した事業展開を図る一方で、不採算の汎用品は抜本的措置を講ずるとしたポートフォリオを定めており、計画遂行を進めている。 同社のセラミックス事業は、主に鉄鋼産業向けの耐火材原料や、自動車産業、金属加工業向けの研削・研磨材、エレクトロニクス産業向け冶具・原料、フィラー材など多種の製品を国内最大規模で供給している。特に近年は、エレクトロニクス分野のニーズに対応して、これまで培ってきた超微粉技術、物性解析技術を応用した、特殊機能を有した電子部品向け原料・フィラー材・研磨材などで新製品を開発、ユーザーから高い評価を得ている。 構造改革の進捗状況については、(1)汎用耐火材事業からの撤退として、[1]鉄鋼産業向けの出荷量が低迷する中、海外からの廉価製品流入による販売価格低下で不採算となっていた汎用耐火材の電融・焼結アルミナを昨年末に生産停止し、今年初めに撤退したほか、[2]耐火材原料および半導体封止材用溶融シリカも、同様の理由で不採算事業となっていたため今年6月に撤退した。また、(2)基盤事業のセラミックス製品では、[1]セラミックス基礎原料の水酸化アルミニウム、アルミナは、エレクトロニクス分野の旺盛な需要増により、需給バランスが大幅に改善するとともに、エネルギーコスト転嫁のため国内外で価格修正を実施中、また[2]電解ムライト、焼結アルミナなどの特殊研磨材、球状アルミナ、hBN粉末等、スピネルなど溶射材、hBN成形体など、エレクトロニクス向けの製品は総じて需要が拡大、堅調に出荷を伸ばしている。さらに(3)エレクトロニクス分野向け新規開発製品については、[1]半導体デバイス用研磨材(CMP)の高純度酸化セリウムスラリー(商品名:GPL)を上市、今年5月から本格生産設備を立ち上げている。同製品は、すでに国内外の大手メーカーの認定を取得、さらにメタル(銅の研磨)用スラリーも開発中で、2002年には年商30億円を見込んでいる。[2]今年8月に電子機器向け特殊ガラス用研磨材(商品名:ROX)の生産設備を、国内最大規模となる月産200トン規模に増設したが、着実に販売量が拡大、今年度は10数億円、2002年には20億円の売り上げを見込んでいる。 不採算事業の撤退によりセラミックス事業の売上高は、1999年度比で約7%減少するが、基盤事業の堅調な伸びと、合理化・効率化効果、新規事業展開などにより、チータ・プロジェクトの初年度目標については、売上高、収益とも大幅に上回ると見ている。 |