2013年10月30日
東京医歯大院、消化管寄生虫の防御の仕組み解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:科学技術振興機構

科学技術振興機構(JST)は30日、東京医科歯科大学大学院の研究グループが、生体が消化管寄生虫感染に対して抵抗力を獲得する仕組みを調べ、2度目以降の感染では白血球の一種である好塩基球が効率的寄生虫排除に重要な役割を果たしていることを発見したと発表した。

現在でも、世界人口の3分の1近くが消化管寄生虫に感染し、健康上の大きな問題となっており、有効なワクチン開発が望まれている。

同研究グループは、消化管寄生虫の一種であるこう虫の幼虫が皮膚から体内に侵入して肺を経由して消化管に到達して成虫になるという特徴に注目した。2度目の寄生虫感染では皮膚から侵入した幼虫を好塩基球が取り囲んで皮膚内に封じ込めることで、感染を肺や消化管まで拡大させない仕組みがあることを明らかにした。
これは従来知られていた消化管からの成虫排除とは異なる新たな生体防御メカニズムである。

今回発見された「消化管寄生虫に対する抵抗力獲得の新たな仕組み」を活用することで、効果的ワクチンの開発をはじめとする消化管寄生虫感染症に対する新たな治療法の開発が進むものと期待されている。


(注)こう虫のこうは金へんに句で、寄生虫の一種。