2000年11月21日 |
三菱レイヨン、LCPグレード追加でCF強化樹脂事業を拡大 |
今後パイロフィル ペレット全体で数千トン規模の販売目指す |
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品 【関連企業・団体】:三菱レイヨン |
三菱レイヨンは、CF(炭素繊維)強化樹脂「パイロフィル ペレット」事業において、先頃LCP(液晶ポリマー)事業に参入したことにより、ラインアップにLCPグレードを追加、これを含めCF強化樹脂事業を積極的に拡大していく考えだ。現在CF強化樹脂の販売量は年間1,000トン規模だが、今後様々な分野で用途拡大を進め、早期に数千トン規模への拡大を目指す。 同社のパイロフィル ペレットは、1998年に豊橋事業所の炭素繊維生産能力を年産2,700トンに倍増したことをきっかけに事業の拡大を進めており、同じ豊橋事業所のコンパウンド設備で生産している。 CF強化樹脂は、ガラス繊維強化樹脂と同様、多くが樹脂に20~30%混入、主としてアルミにムダイキャストやマグネシウム合金を代替する分野に用いられている。 ベース樹脂は、ナイロン66樹脂、ABS樹脂、PC(ポリカーボネート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、POM(ポリアセタール)、変性PPE(ポリフェニレンエーテル)、ポリマーアロイ、PP(ポリプロピレン)など多岐にわたる。これらのベース樹脂のうち、ABS樹脂とPBT以外は他社から樹脂を調達する体制だが、「樹脂メーカーが炭素繊維を買ってCF強化樹脂を生産するよりも、当社のような炭素繊維メーカーが樹脂を買って生産するほうが、コスト面で有利。またCF強化樹脂は一般的に高いと見られているが、アルミやマグネシウムとに比べ塗装などの工程がない分、トータルでは充分対抗できる」(機能樹脂事業部成形材料部ポリエステル樹脂グループ統括部長の本郷雅文氏)として、今後の事業拡大の可能性も大きいと見ている。 さらにこのほど同社は、LCP事業に参入、パイロフィル ペレットでもLCPグレードを追加した。用途については現在物性改良などの研究を進めているが、今後ますます“より軽く、より薄く”というニーズが強まってくると見られるノートパソコンのハウジングや、炭素繊維によるシールド効果や一体成形が可能であるという特徴を活かした光ファイバーのフェルール向けなどへの展開を検討している。同社では、パイロフィル ペレットも含めLCPコンパウンドとして、初年度は1,000トン、2005頃年には3,000トンへの拡大を目指していく方針。 このほかパイロフィル ペレット事業全体では、これまでの電気・電子、OA機器分野に加え、自動車部品分野を視野に入れつつある。すでにブレーキのブースターやクラッチのピストンなどで一部採用されているが、ルームランプのベース部品やサイドミラーステーなど内外装部品へ展開していきたい考えだ。 三菱レイヨンでは、コンパウンド内製化による自由度や炭素繊維メーカーとしてのコスト競争力を生かしつつ、これら新規グレードの追加や、新規用途の開拓により、パイロフィル ペレット事業のさらなる拡大に注力していく。 |