2013年11月15日
理研、数万分の1の触媒量で機能するパラジウム触媒開発
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所は15日、九州大学との共同研究グループが有機太陽電池材料や医薬品合成に使用可能で高効率な触媒反応を示す、従来の数万分の1の触媒量で機能するパラジウム触媒「シリコンナノワイヤーアレイ担持パラジウム触媒」を開発したと発表した。

触媒を利用して2つの化学物資を選択的に結合させるクロスカップリングという反応は、医薬品合成、機能性材料合成、石油化学製品製造で重要な役割を果たしている。しかし現在、パラジウムを触媒として用いたクロスカップリングでは、高価なレアメタルであるパラジウムを大量に使用する方法しか確立されていない。
このため、微量で機能する触媒が開発できれば、低コスト化や省資源化、レアメタルへの依存低下につながる。

共同研究グループは、シリコンナノワイヤーアレイにパラジウムナノ粒子を担持させた「シリコンナノワイヤーアレイ担持パラジウム触媒」を開発した。
この触媒を使いクロスカップリングの反応のひとつである溝呂木―ヘック反応を行ったところ、従来に比べて数万分の1の量に相当する0.49ppmで反応が進行した。また、触媒活性の指標である触媒回転数も200万回に達し、この反応に有効な固定化触媒として世界最高効率を実現した。
今後、さらに触媒の改良が進むと、大規模な化学プラントで実用可能な触媒へと発展していく可能性がある。