2013年11月20日
三井化学・田中社長、大型市況製品“地産地消”に意欲
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三井化学
田中稔一社長

三井化学の田中稔一社長は20日の経営概況説明会で、13年度の業績予想ついて、売上高1兆5500億円、営業利益250億円以上、最終損益は90億円改善して10億円の利益を見込むと説明した。「業績に明るさは見えてきたがまだ道半ばだ」と強調し、課題であるポートフォリオの変革、取り組みに意欲を見せた。

営業利益は前期(12年度)の43億円から大幅増益となるがプラス要因にはまず「事故影響からの回復が大きい」点を指摘した。「事故では90億円の損失を出したが、目に見えないものを入れると200億円を超える」。次に高機能製品、高付加価値ポリマー、農薬などの拡販、為替や国際市況などの交易条件改善を挙げた。

課題は「事業ポートフォリオの変革」。大きく(1)高機能製品(2)高付加価値ポリマー(3)フェノール・チェーン製品群の3つのカテゴリーに分けられるが、このうち大型市況製品であるフェノール、PTA、ウレタン原料事業には「抜本的改革が必要」と力を込めた。

いずれも輸出比率が高く、国際市況に影響されやすいため“地産地消”の方針で最適生産体制を構築する。
フェノールは中国・上海にSINOPECとJVで25万トンプラントを建設中だが、技術や原料、販売力に強みを持っているため、今後はこの優位性を活かしていく。PTAはすでに世界トップクラスの設備を有するが、さらに地産地消を促進する。ウレタン原料は収益改善が進んでいないので中国依存度を現在の50%から30%に低減するほか、15年度80億円としていたコスト削減目標を100億円にアップし対策に取り組む。

出光興産と共同のベトナム製油所・石化計画(ニソンプロジェクト)については「有利な条件でパラキシレン、ベンゼンが自給できる。2018年の完成なので、それまでに国内体制をどう築くだ」と期待の大きさを示した。

千葉地区や大阪・泉北地区の石油化学センターなど大型の再構築計画については「いずれも最終段階にきていることは確かだが、相手のこともあるので具体的な話はまだできない。来年2月頃まで待ってほしい」と、現状説明を避けた。