2014年02月18日
理研、細胞内分子間の情報伝達効率の論争に終止符
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所は17日、スーパーコンピュータによる大規模シミュレーションにより、細胞内分子間の情報伝達効率の上限を定義する基本理論をめぐる論争に終止符を打ったと発表した。

共同研究グループは、開発した「改良グリーン関数反応動力学法」を用いて、理研のスパコン上で、世界で初めてバーグ=パーセル限界の厳密な検証を行った。その結果、より新しく精緻な理論とされてきたビアレック(米国プリンスと大学)らの理論に誤りがあることがわかった。

一方、古典的なバーグ(米国ハーバート大学)らの理論が実際には厳密な検証にも耐えうることが証明され、この論争に終止符を打った。さらに、共同研究グループは、シミュレーション実験の結果から、バーグイ=パーセル限界と矛盾せず、かつビアレックらの理論のように精緻な新たな理論を導き出した。

この研究成果は、iPS細胞(人工多能性幹細胞)やSTAP細胞(刺激惹起性多能性獲得細胞)などの幹細胞が、体内の成長因子をどの程度正確に検知し特定の種類の細胞への分化を決断するのか、免疫細胞がどのように異物を捕捉するのかなど、より詳細に理解する上で大きな役割を果たすと期待されている。