2000年11月15日
信越化学、光通信用部品事業に本格参入
来年1月に群馬で光アイソレータ大幅増強、年60万個体制に
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:信越化学工業

 信越化学工業は15日、光通信用部品事業に本格参入する方針を明らかにし、その第1弾として群馬事業所(群馬県安中市)の光アイソレータ生産設備を大幅に増強し、年産60万個体制を確立する、と発表した。これにより急成長が続く光通信関連の事業をさらに強化、半導体関連事業に並ぶ柱として育成していく方針。
 光アイソレータは光通信の光源であるレーザーモジュールなどに組み込まれ、レーザーダイオードで発振されたレーザー光を一方向にのみ透過させる素子で、光ファイバーからレーザーダイオードに戻る反射光を遮り、レーザーダイオードを保護するために使われる部品。信越化学の光アイソレータは、透過光のロスが少なく、温度特性、特に低温下の特性に優れていることが特徴となっている。また波長特性も、主力の1.55ミクロン帯以外の波長にも対応できる。 同社は、光アイソレータの主要構成部品であるファラデー回転子(※1)用の基板となるガーネット結晶から製品までを一貫生産している。長年培ってきたエピタキシャル技術をベースに、ガーネット結晶上のエピタキシャル膜の組成を最適化し、ユーザーのニーズに対応している。
 さらに同社は、光アイソレータのほかにも、「インラインアイソレータ」や「アッテネータ」、「サーキュレータ」(※2)の開発にも取り組んでいる。いずれも光アイソレータ同様、ファラデー回転子が使われており、自社技術の強みを活かすことができる分野と見ている。
 全世界における市場規模について同社は、光アイソレータが約150億円、インラインアイソレータが約200億円、アッテネータが約100億円、サーキュレータが約150億円と推定しており、これら光通信用部品の市場は今後約10年は毎年大幅な成長が続くと予想している。
 現在同社が最も力を入れている光アイソレータは、インターネットの普及により北米市場を中心に需要が急増している。市場の拡大に的確に対応するとともに新製品の開発を進めることで、事業規模は光アイソレータだけで2001年に50億円、2002年には100億円を目指している。
 光通信関連では、すでに光ファイバー用プリフォーム事業に取り組んでおり、天然ケイ石を原料とする金属ケイ素およびクロロシランからの一貫メーカーとして、積極的な投資を行っている。2001年11月には、鹿島で年産1,200万キロメートル(光ファイバー換算)の新工場が完成する予定で、この結果生産能力は既存設備との合計で年産2,400万キロメートルに倍増、世界のプリフォーム市場で25%のシェアを占めることになる。
 信越化学はこのような事業戦略の下、急成長が期待できる光通信関連事業を半導体関連事業にならぶ新たな柱とすべく、今後積極的に研究開発や設備投資を行っていく考え。