2014年04月11日
北陸先端大など、発現の難しいたんぱく質の量産化技術開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:科学技術振興機構

JST(科学技術振興機構)は11日、北陸先端科学技術大学院大学の大木進野教授と石川県立大学・森正之准教授らが、英国ワーリック大学の研究チームとともに、顕花植物の胚形成メカニズムの一端を解明したと発表した。

分子生物学や生化学などの研究ではふつう、遺伝子組み換え大腸菌や酵母などを利用して試料たんぱく質を調製する。だが、リン酸化や糖鎖付加などの翻訳後修飾を受けたり、ジスルフィド結合を持つたんぱく質は、従来法では生産が困難だった。また、たんぱく質の構造解析をNMR法で行うには、安定同位体と呼ばれる特殊な原子で試料を標識する必要があった。

大木教授と森准教授らが開発した新しいたんぱく質生産技術は、たんぱく質の設計図となる遺伝子を、大腸菌や酵母ではなくタバコBY-2細胞に取り込ませて、試料となるたんぱく質を発現させる。BY-2は、液体培地で大量に培養ができ光合成能力がない日本発の植物細胞となる。同技術により、従来法では生産が困難だったたんぱく質を、生理活性を保ったまま大量生産することが可能となる。また、たんぱく質に含まれる特定の原子を各種の安定同位体で標識することができる。

同研究成果は、2014年4月11日(米国時間)に米国科学誌「Science」で掲載される。

今回の開発技術は、従来法では困難だった、たんぱく質が簡便に大量生産できる点に特徴がある。たんぱく質の大量生産技術を生かして、今後はペプチド農薬の量産化や新薬開発など産業への応用研究を加速していく方針だ。