2014年05月02日
理研、細胞外マトリクスの新たな仕組み発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所は2日、ショウジョウバエの胚において、細胞外マトリクス(基質)の弾性力が気管の形態形成を制御していることを明らかにするとともに、管の長さと形状の安定性は気管上皮細胞の拡張力が細胞外マトリクスの弾性力と拮抗することで決まるという新しい仕組みを発見したと発表した。

フランス・キユリー研究所のエデュアルド・ハネッツオ氏との国際共同研究グループが発見した。

国際共同研究グループは、気管に蓄積する細胞外マトリクスの性状を詳細に解析したところ、粘り気のある液体成分と弾性体成分で構成されていることを見いだした。これらの成分を損なう条件や気管上皮細胞の管腔側の細胞膜(アピカル細胞膜)が過剰に拡大するショウジョウバエの変異体を解析し、物理モデルを検証した。その結果、気管上皮細胞のアピカル細胞膜の拡張力と細胞外マトリクスの弾性力が拮抗することで力学的に安定し、適正な長さの気管ができることを発見した。

この成果は、細胞外マトリクスの形態形成に関わる新たな機能の発見であり、細胞が生物の管状組織を形作る細胞生物学的な見地からも注目されそうだという。