2014年05月09日 |
NEC、バイオプラ製造エネルギーを10分の1に削減 |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:科学技術振興機構 |
科学技術振興機構(JST)は8日、日本電気のエネルギー研究所が高機能バイオプラスチックを、従来の10分の1という低エネルギー(低CO2排出量)で合成できる新しい製造技術「2段階不均一系合成プロセス」を開発したと発表した。 木材や藁などの主成分のセルロースに、農業副産物のカシューナッツ殻に由来する油状成分の「カルダノール」を化学結合させる。得られた樹脂は熱可塑性・耐熱性・耐水性などに優れ、植物成分率が約70%と高い特徴があり、今後、電子機器などの耐久製品への実用化が見込める。 原料のカルダノールは、東北化工(本社・栃木県那須烏山市、柴田寛之社長)と共同開発し、反応しやすい構造に化学的に変性したものを利用した。 新開発した「2段階不均一系合成プロセス」とは、従来のように原料のセルロースを有機溶媒に溶解させず、ゲル状に有機溶媒で膨らませた状態(不均一系)にしたうえで、変性カルダノール(長鎖成分)と酢酸(短鎖成分)を2段階で結合して樹脂を合成する方法。溶液からの沈殿分離などによって生成樹脂を容易に回収できる。 同プロセスは、ほぼ常圧・中温(100℃以下)での反応条件を達成するとともに、従来の均一系プロセスで必須であった生成樹脂を分離するための溶媒が不要となるため、合成に必要な溶媒量の大幅な削減(従来プロセスの約90%減)を実現した。これらにより、従来に比べ、約10分の1の製造エネルギー(CO2排出量)で、高機能なセルロース系バイオプラスチックの製造が可能になる。量産化すれば製造コストの大幅削減が期待できる。 研究の詳細は今年5月28日-30日、名古屋国際会議場で開催される「第63回高分子学会年次大会」で発表する。 |