2014年05月21日
淡輪三井化学社長、「V字回復」へポートフォリオ見直し
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三井化学
淡輪 敏社長

三井化学の淡輪敏社長は21日、経営業績の「V字回復」に向けた2014-16年度3カ年の「14中期経営計画」を発表した。事業再構築の徹底と、成長投資の確実な回収、事業ポートフォリオの変革を計画の柱に据えた。

2016年度の目標数値として、売上高1兆7500億円(2013年度実績は1兆5660億円)、営業利益600億円(同249億円)、純利益300億円(同251億円の赤字)、ROA4%(同1.8%)を掲げた。2020年をめどに、それぞれ1兆8000億円、1000億円、500億円、6%の達成をめざす。

事業ポートフォリオは、これまでの営業部主体からマーケット主体方式に発想を切り替え「モビリティ」、「ヘルスケア」、「フード&パッケージング」の成長3領域と基盤素材、新事業・新製品創出の計5事業で展開する。

とくに成長が期待できる分野としてモビリティ分野ではPPコンパウンド、機能樹脂、金属樹脂一体成型部材、軽量化部材、次世代LIB部材などを挙げ、2016年度の営業利益300億円をめざす。ヘルスケア分野はメガネレンズ、歯科材料、ビジョンケア、オーラルケアなどが重点となり同150億円を見込む。フード&パッケージング分野はエボリュー、フィルム・シート、農薬事業などを軸に第3の柱に育てる。16年度営業利益見込みは100億円。

国際市況商品の汎用化学品事業は、基盤素材戦略として推進する。
フェノールは国内での生産最適化やシンガポールでの用役コストダウン、中国ではSinopecとのJVによる域内トップの競争力確保をめざす。PTAは誘導品PETと連携した地産地消改正確立を模索する。ウレタン事業は、汎用ウレタン原料の最適生産体制にめど(鹿島TDI、大牟田MDIの停止)がついた。今後は他社との提携も視野に圧倒的競争力のある中東での展開に注力する。基盤素材領域として16年度営業利益50億円を見込む。

また、新事業・新製品創出戦略として、金属樹脂一体成型部材、新ヘルスケア領域、太陽光発電診断・コンサルティング事業にとくに力を入れ経営資源をこれらの事業に集中投入する。2016年度までに売り上げ1000億円規模の新事業・新製品創出を目指す。

淡輪社長は「事業活動を通じて社会貢献を実現したい。基本理念は今までと変わらない。V字回復に向けてやることは多いが、環境の変化に柔軟に対応しながら既存事業の収益力強化と新事業領域の育成に積極的に取り組むつもりだ」と、力を込めた。