2014年06月10日
九大、アレルギー反応を起こす化学物質放出メカニズム解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:科学技術振興機構

科学技術振興機構(JST)は10日、九州大学がマスト細胞と呼ばれる白血球がヒスタミンなどのアレルギー反応を引き起こす化学物質を放出する過程で、DOCK5というタンパク質が重要な役割を果たしていることを世界に先駆けて発見し、その作用機序を解明したと発表した。JST戦略的創造研究推進事業の成果としている。

花粉症、喘息、食物アレルギーといったアレルギー疾患の頻度は年々増加している。マスト細胞はこのアレルギー反応の誘導に深く関わる。

九大では、マスト細胞に発現しているDOCK5というタンパク質に注目し、そのアレルギー反応における役割を解析した。DOCK5が発現できないように遺伝子操作したマウスでは、マスト細胞の脱顆粒反応が障害されており、その結果アレルギー反応が著しく抑制されることを見いだした。

さらに、DOCK5が脱顆粒反応を制御するメカニズムを詳しく調べてところ、従来知られていた働きとは異なる機序で同物質が作用し、微小管の動きをコントロールすることで、脱顆粒反応を制御していることを突き止めた。
現在、アレルギー疾患の治療薬としてヒスタミンの働きを抑える薬剤が使われているが、DOCK5はヒスタミン放出そのものに関わっているため、アレルギー反応を根元から断つための新たな創薬標的になることが期待される。