2000年11月07日
旭硝子、総額44億円でタイ合弁会社のマジョリティ持分を取得
経営権を完全掌握/アジア地域の重要生産拠点へ
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:旭硝子

 旭硝子は7日、タイの合弁会社であるタイ旭硝子(TAGC)、バンコクフロートグラス(BFG)、タイ安全硝子(TSG)の3社について、現地の合弁パートナーであるスリフンフン・パニチュワ・グループの全持分を買取子会社化した、と発表した。また同社がすでにマジョリティ持分を間接保有しているタイ旭エレクトロニックデバイス(TAE、旭硝子の日本国内100%出資子会社の旭ファインテクノが株式を保有)についてもパートナーの全持分を買取、100%孫会社化した。パートナーからの買取総額は、4社合計で約44億円に上る。
 TAG、BFG、TSG、TAEに対する買取前の旭硝子持分は、それぞれ39.6%、41.4%、45.0%、70.0%であったが、今回の買取によりそれぞれ、85.2%、96.3%、93.2%、100.0%になった。このうちタイ証券取引所に上場しているTAGについては、タイ証券取引委員会の規定に従い、今回の買取に続いて、公開買付を通じて残る一般株主から株式の買取を実施、公開買付終了後には、同社の上場を廃止する計画。またBFGおよびTSGについても、パートナー以外の株主の保有株式を買い取る方向で今後交渉していく。
 TAG、BFGは、それぞれ1963年、1989年に設立、タイ国内の建築用・自動車用板ガラスを製造・販売するとともに、東南アジア地域の輸出拠点として、重要な役割を果たしてきた。またTSGは、1974年にTAG子会社として設立後、1988年に合弁会社となり、主にタイ国内の日系、欧米系自動車メーカー向けに、自動車用・産業用加工ガラスを製造・販売してきた。
 旭硝子は、アジアの経済危機を脱し、今後の成長が期待されるタイにおいて、合弁会社のマジョリティ持分を取得して経営権を完全に掌握、経営の効率化やコスト削減、高付加価値製品の投入を通して競争力を高めるとともに、同社の板ガラス・加工ガラス事業のグローバル戦略の枠組みにおいて、これらをアジア地域の重要な生産拠点として機能させる方針。
 TAEは、1991年に設立、テレビ・ビデオ用部品(ガラスディレーライン)の製造・販売を行ってきたが、デジタル化進展にともなって、需要が大幅に減少していた。今回の100%孫会社化により、新たに旭硝子グループの製品である液晶用モジュールの受託生産会社として、事業拡大を進める計画。
 なお旭硝子は、「シュリンク・トゥー・グロー(Shrink To Glow)」の経営戦略に基づき、事業の選択と集中を図ることで、事業構造改革と体質強化を進めているが、今回のタイ合弁会社のマジョリティ持分取得もこの戦略の一環として実施したものであり、グループ展開の強化により、各事業のさらなる成長を目指す、としている。