2014年08月25日
生物研、「組換えカイコ」生産大きく前進
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:農林水産省

農林水産省の農業生物資源研究所(生物研)は25日、カイコの卵で導入遺伝子を強力に働かせることに成功したと発表した。「組換えカイコ」作出に向けて大きく前進したとしている。

カイコは、タンパク質生産能力が高く、検査薬などに使われる有用タンパク質を生産する遺伝子組換えカイコを利用した有用物質生産の事業化も始まっている。だが、目的の遺伝子が組み込まれた組換えカイコができる確率は数百分の一であり、卵の段階で目的とするカイコを容易に選抜する技術開発が望まれていた。
卵での選抜には、「マーカー遺伝子」の働きを見ることで選抜を行うが、生物研ではマーカー遺伝子を強力に働かせるためのプロモーターを発見した。また、このプロモーターは、卵のほか、幼虫、さなぎ、成虫の全ての成長段階において強く働くことがわかった。

このプロモーターを利用すれば、マーカー遺伝子の働きを容易に確認することができる。このため卵の段階で目的とするカイコを容易に判別でき、選抜作業が飛躍的に効率化する。

このプロモーターは、カイコのどの組織でも同様に強く働くため、さまざまな遺伝子の機能をこれまでよりも容易に調べることが可能になり、今後、有用物質生産の効率化や害虫制御剤の開発などにつながると期待されている。