2014年09月10日

横浜市立大院、軟骨再生の意外なメカニズム発見

【カテゴリー】：ファインケミカル 【関連企業・団体】：科学技術振興機構

科学技術振興機構（JST）は10日、横浜市立大学大学院と神奈川県立こども医療センターの研究グループが、ヒトの耳介より採取した軟骨前駆細胞から、ヒト軟骨を効率的に再生する意外なメカニズムを発見したと発表した。 再生医療応用に光を当てるものとして注目される。 この研究では、まず、成体では血管のない単純な組織である軟骨でも、発生や再生の初期段階では血管が一時的に存在することを見出した。さらに、以前に同研究グループが世界で初めて同定したヒト軟骨前駆細胞と、臍帯より分離した血管内皮細胞を組み合わせて、血管様構造を有する立体組織を自律的に誘導することの可能な革新的な三次元共培養法の確立に成功した。 これによって生み出された立体組織は、免疫不全マウスの生体内に移植することで一時的な血管化が再現され、飛躍的な効率でヒト軟骨へと成熟することが示された。 今回の研究では、軟骨のように単純な組織の再生においても、血管をはじめとする複数種の細胞間相互作用が重要であるという意外な知見を明らかにした。 今後、全世界で100万人以上存在すると考えられている頭蓋・顎・顔面領域の先天奇形や、外傷による組織の変形などの疾患治療に有益な、全く新たな軟骨再生医療の実現が期待される。