2014年10月23日
「化学の日」産学トップが特別授業
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:日本化学会、「夢・化学-21」委員会
小林喜光・三菱ケミカルホールディングス社長

日本化学会、開成学園、「夢・化学-21」委員会は23日の「化学の日」に、産学トップ特別授業「化学の日講演会」を東京都荒川区の開成中学校講堂で開催した。開成中学・高校の在校生徒及び保護者約600人が受講した。

講演会では、日本化学会前会長の玉尾晧平・理化学研究所研究顧問が「一家に1枚周期表にみるわが国の科学技術の底力」をテーマに講演した。玉尾氏は、化学元素111の元素周期表を2005年3月の科学技術週間に約10万部を無料配布した経緯を紹介するとともに、わが国の4人のノーベル化学賞受賞者である白川英樹氏(ポリアセチレン合成)、野依良治氏(遷移金属触媒不斉水素化)、根岸英一氏(クロスカップリング反応)、鈴木章氏(同)の業績と化学元素との関連を解説した。

次に、日本化学工業協会会長の小林喜光・三菱ケミカルホールディングス社長が「THE KAITEKI COMPANY 地球と共存する経営」をテーマに講演した。小林社長は、「化学産業が提供する製品やサービスは、人類の持続可能な発展のために必要不可欠なソリューションになっている」として、THE KATEKI COMPANYを実現するための3つの判断基準を示すとともに、「判断基準を満たさない企業活動は行わない」と強調した。そして、参加者の中高生に、グローバル・リーダーの要件として「人間として哲学を持つこと、欧米人に負けないタフな交渉能力を身につけること、日本人のアイデンティティをベースにした強みを意識すること」の3つを求めた。

鈴木 章氏
最後に、2010年ノーベル化学賞を受賞した鈴木章・北海道大学名誉教授が「Nobel化学賞を受賞して」と題して講演した。鈴木氏は、化学の世界に入った動機について、「米国で発行された有機化学の本を読んだのがキッカケだった」と紹介するとともに、ノーベル化学賞の受賞理由となった、有機ホウ素化合物を用いる鈴木カップリング反応」について分かりやすい言葉で説明した。そして会場を埋めた中高生に「日本は資源が乏しい。付加価値の高い技術が必要だ。チャレンジしてほしい」と力を込めた。