2014年11月25日
理研、情報伝達タンパク質でラン藻のアミノ酸効率生産
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所は25日、微細藻類「ラン藻」を遺伝子改変し、代謝能力や光応答反応を変化させることに成功したと発表した。これにより、アミノ酸の生産を効率的に増加できることがわかった。
ラン藻は植物と似た光合成を行い、光エネルギーと二酸化炭素を使い、バイオプラスチックや糖、アミノ酸、色素などの有用物質を作ることができる。ラン藻の光合成メカニズムを分子レベルで理解できれば、将来的に光と二酸化炭素を使ったものづくりにつながると期待されていた。
理研の研究グループは、淡水性ラン藻「シネコシステムス」の遺伝子を改変し、細胞内のHik8タンパク質量を増加させたHik8過剰発現株を作製した。このHik8過剰発現株の細胞内代謝産物を測定したところ、炭素の貯蔵源であるグリコーゲンが大きく減少することや、グリシン、アスパラギン酸など、光の条件に応じて7種類のアミノ酸が増加することがわかった。
今回の成果は、微細藻類の転写と代謝を改変する新しい方法といえる。今後、ラン藻の分子メカニズムの理解が深まることで、アミノ酸や糖などの効率的な生産につながると期待させる。