2014年11月26日

NIMS、分子の自己組織化の時間制御に世界初成功

【カテゴリー】：ファインケミカル 【関連企業・団体】：物質・材料研究機構

物質・材料研究機構（NIMS）は26日、側鎖を変えた分子を混ぜ合わせることにより、分子が自発的に集合する現象（自己組織化）の開始時間を制御し、事前にプログラムしたとおりに自己組織化を進める手法を開発したと発表した。 今回2種類の自己組織化構造を有する分子を使って研究を行った。一方の自己組織化構造は素早く生じるが、エネルギー的に安定ではなく、最終的にはエネルギー的に、より安定なもう片方の自己組織化構造が一定時間経過後に形成される。この分子の側鎖を変えることにより、エネルギーの安定状態を逆転させ、素早く生じる自己組織化構造のみを形成する分子をも作ることができた。 この2種類の分子の混合比率を変えることで、当初のエネルギー的に安定な構造への自己組織化が始まる時間を制御することに世界で初めて成功した。今回成功した時間的な制御は、複数の化学種が作り出す分子のネットワークによって組織化が進んでいるという点で、生体の「体内時計」のメカニズムとも類似している。 自己組織化は、材料科学、ナノテクノロジー、バイオテクノロジーなど多岐にわたる領域で極めて重要な概念であり、物質の新たな合成手法としても大きな注目を集めている。 今後、同研究で開発した手法を応用し、望みのタイミングで発光させたり、導電性を変化させたりする高度なシステムの構築を目指す。将来的には、生命分子システムのように、時間の経過や下界の環境変化に応じて自律的に機能するスマートマテリアルへの展開が期待される。