2014年12月12日
市川・昭電社長「2015年度業績 大幅改善見込み」
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:昭和電工
市川秀夫社長

昭和電工の市川秀夫社長は12日、2015年度の事業戦略説明会で「世界経済の先行きは不透明感を増しているが、業績イメージとしては大幅な改善が見込める」と展望を語った。

2015年度(1~12月)のイメージとして、
◇売上高  9,600億円(14年度 8,850億円)
◇営業利益  400億円(250億円)
◇純利益   150億円(50億円)
と大幅な増収益を予想、ROAは 4.0%(2.5%)を見込む。

2011年を起点として推進してきた中計“PEGASUS(ペガサス)”は15年に2期目を終える。市川社長は「中計目標達成に向けて最大限努力する。HD(ハードディスク事業)とGE(黒鉛電極事業)を両翼に展開してきたこれまでの施策が成果を挙げる。アルミ缶など海外プロジェクトの効果も確実に手にする。新規プロジェクトも検討する」と強調した。

<2015年の主な事業の戦略>
■ハードディスク(HD) :HDドライブ(HDD)の2015年の出荷台数は前年並みの水準と見込まれる。タブレット、スマートフォンなどへの切り替えも一段落する。先進国市場ではPC需要が底堅く推移する。HDメディアではPC用途からサーバー用途へのアプリケーション・シフトが進む。これに伴いアルミメディアの需要が増加する。こうしたなか、HDメディア事業のさらなる強化を図る。

■黒鉛電極(GE) :顧客である電炉鋼の需要は、中国は鉄鋼過剰生産の解消に時間を要するものの、米国の旺盛な需要は継続すると見られ、世界のGE工場の稼動率は回復が予想される。15年は原料価格のコストダウン徹底と販売価格の是正を推進する。米国拠点も能力増強効果を挙げると期待している。

■機能性化学品
主力の自動車部材分野のほか住宅や工場設備などの分野で不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂の需要伸長が中国やASEAN市場で見込まれる。製造拠点を持つ中国、タイでの供給体制を強化する。
生分解性プラスチック「ビオノーレ」(商品名)も、本格的な市場の立ち上がりに対応して能力拡充を図る。

■石油化学
2015年も需給バランスは堅調に推移し、エチレンプラントの稼動率も高水準が予想される。一方原料市況は不安定な状況が続く。米国でのシェールガス原料の石化計画は遅れる傾向にある。中国経済は鈍化したとはいえ、基礎製品の需要は拡大が続くことから、需給バランスそのものは堅調に推移するだろう。
大分コンビナートは競争力の高い誘導品を数多く有している。先に新設した酢酸エチル新製法プラントなど、有機化学品事業の収益向上、石油精製など他社との地域内連携、耐熱透明フィルム「ショウレイアル」など誘導品事業の拡充・強化策を進めていく方針だ。