1999年12月13日
エンドクリン国際シンポジウム、盛況裡に閉幕
三日間で15カ国から延べ4,100人が出席
【カテゴリー】:環境/安全
【関連企業・団体】:三菱化学、環境省

 環境庁の主催によって9日から神戸国際会議場で開催されていた「第2回内分泌攪乱化学物質問題に関する国際シンポジウム」は11日夕までに予定のスケジュールをすべて消化し閉幕した。同シンポジウムには15カ国・1国際機関(0ECD)の研究者、立法・行政担当者、関係業界団体代表などそれぞれ立場や役割が異なる関係者多数が参加、三日間にわたって同問題を巡り熱心に討議した。参加者は、初日と二日目の研究者向けセッションにそれぞれ約1,300人、最終日の一般向けの公開セッションにおよそ1,500人の延べ4,100人にのぼり、前回(昨年12月の京都会合)を凌ぐ盛況振りであった。
 11日の一般公開セッションでは、午前中に、自民党、公明党、厚生省、環境庁、国立環境研究所、英国環境省、米国内務省——の各機関の代表が「対策の現状」を報告、そして午後の前半に、内外の著名な環境研究者5人がそれぞれの研究結果を発表したあと、パネルディスカッションが開催された。
 パネルディスカッションには、米・ハーバード大学のジョン・D・グラハム教授、横浜市立大学の井口泰泉教授、米・W.アルトンジョーンズ財団のジョン・ピーターソン・マイヤーズディレクター、三菱化学環境安全部の西川洋三部長、環境庁環境安全課の上田博三課長——の5氏が日本内分泌攪乱化学物質学会の鈴木継美会長の司会で同問題の現状と対応のあり方について討論した。
 この中でグラハム教授は「内分泌攪乱化学物質問題は未解明な事柄が多いので、その予防は簡単でない。最も大切な予防原則だけでも19を数えると言ってよいほど複雑だ」と前置きした上で「重要なのは、科学的データに基づいて冷静に判断し行動すること。またその場合のデータも、複数の専門機関や専門家が同じ実験を実施したところ同じ結果が出るいわゆる再現性を有するものでなければならない」と、あくまでも科学的な対応が大切な点を強調した。さらに、化学物質の規制問題についても触れて「規制によって全ての化学物質のリスクを予防するのは不可能なので、慎重な取り組みが必要」と指摘し、「決定に当たっては、経済的・社会的ニーズの存在も考慮する必要がある」と付け加えた。
 これに対して、マイヤーズ氏は「同物質はごく微量でも生物に影響を及ぼすので、安全性が証明されないものは使用が禁止されるべきであり、ビスフェノールAもその一つだ。フォンサール氏の有害実験結果は再現性がないと言って否定するのおかいし」と反論、同時に「企業の中には実験データに手を加えて発表する研究者や弁護士がいる」とかねてからの企業不振論も合わせて展開した。
 一方、西川氏は「ビスフェノールAの安全性は多くの実験で十分確認されている」と反駁、そして「内分泌攪乱化学物質問題を考える上で大切なのは、無作用量と摂取量との比較をきちんとすること」と冷静に行動するよう訴えた。