2015年01月22日
慶大など、運動の記憶や学習に必須なタンパク質発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:科学技術振興機構

科学技術振興機構(JST)は22日、慶應義塾大学が新潟大学や北海道大学、英国オックスフォード大学と共同で、運動の記憶や学習を担う神経回路に必須なタンパク質を発見したと発表した。

ヒトの脳の中では、無数の神経細胞がシナプスを介して互いに結合し、記憶・学習に必要な神経回路を形成している。近年、発達障害や精神疾患の原因の1つとしてシナプスを基盤とした神経回路の障害が疑われているが、シナプスがどのようにして形成、維持あるいは除去されるのについては未解明な点が多く残されている。
研究グループは、マウスを用いた実験により、神経細胞が分泌するC1ql1(シーワンキューエル)と呼ばれるタンパク質が、生後発達時の小脳において正しいシナプスを選択的に強化することを発見した。また、成熟後にC1ql1を除去すると、いったん形成された
シナプスが失われ、小脳神経回路による運動学習が著しく障害されることがわかった。
C1ql1に類似したタンパク質は、小脳以外の様々な脳部位にも存在し、それぞれの神経回路において機能すると考えられる。このため、今回の研究成果は、記憶障害や精神疾患の原因解明と治療法開発に役立つと期待されている。