2000年10月25日
旭化成、レーヨン事業から撤収~来年9月生産停止
最後の国産メーカー、2002年3月に販売を終了
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:旭化成

 旭化成工業は24日、需要が著しく減少、将来的にも事業性を見出すことができないとして、レーヨン事業からの撤収を決定した、と発表した。これにともない2001年9月にレーヨンの生産を停止、2002年3月に販売を終了する。同社の撤収により、レーヨン長繊維の国産メーカーはゼロとなった。
 同社は、1924(大正3)年に旭化成の前身である旭絹織においてレーヨン事業をスタート、以来80年間、生産・販売の両面で同社の基幹事業として順調に推移してきた。しかし、バブル崩壊後のレーヨン事業を取り巻く市場環境は厳しく、婦人アウター用途は製品輸入拡大とファッションのカジュアル化から振るわず、裏地や生活関連、資材用途はエステル化の進展、安価な輸入品への代替などにより、全ての主力分野で構造問題が定着していた。
 この間同社は、コスト低減や新商品の開発・マーケット開拓など、多方面で経営努力を続けてきたが、構造的問題を解決するには至らず、将来的にも収益改善の見通しが立たない状況にあると判断、このような状況で再投資を十すすることは困難であるとして、同事業からの撤収を決定したもの。
 撤収にともなう対応については、先に述べたスケジュールで生産および販売を終了、取引先については今後話し合いを進めていく方針で、同事業の従業員については、労働組合と協議した上で、全員を再配置する予定。
 なおレーヨン事業の売上高は1999年度で70億円、宮崎県延岡市に日産29.9トンの生産能力を有し、従業員は234名。