2015年02月10日
東大・阪大、微生物侵入を感知するタンパク質の構造解明
【カテゴリー】:行政/団体(ファインケミカル)
【関連企業・団体】:科学技術振興機構

科学技術振興機構(JST)は10日、東京大学大学院と大阪大学大学院の研究グループが、体内に侵入してきた微生物のDNAを感知して自然免疫応答を引き起こすタンパク質(TLR9)の立体構造を世界で初めて解明したと発表した。

TLR9は、微生物由来のDNA配列(CpGモチーフ)を感知することで、インターフェロンなどの産生を促すため、抗ウイルス薬やアレルギー薬などの創薬の標的として注目されていたが、具体的にどのようなDNA(デオキシリボ核酸)を認識するのかが不明だった。

研究グループは、微生物由来のDNA配列が結合していないTLR9、微生物由来のDNA配列が結合しているTLR9、さらにTLR9の機能を阻害するDNA配列が結合しているTLR9の3種の立体構造を明らかにした。
その結果、TLR9と微生物由来のDNA配列は2対2の比率で結合化して2量体の活性化型を形成することがわかった。

この配列は、TLR9のN末端側にある溝に結合することによって認識される。また、このDNA配列はTLR9の馬蹄型構造の内側にコンパクトなループのような形で結合していた。これらの知見は、抗ウイルス薬、アレルギー薬、ワクチンなどの治療薬の設計につながると期待されている。