2000年10月24日 |
中部通産局、日油事故「中間とりまとめ」発表 |
[再発防止対策]評価、一部停止命令解除へ |
【カテゴリー】:行政/団体 【関連企業・団体】:日本油脂 |
中部通産局は23日、8月1日に日本油脂武豊工場で発生した爆発事故の原因について、事故調査委員会がまとめた中間報告の概要を発表した。その中で、無煙火薬の保管方法が不適切であったこと、また大容量の容器に大量に保管されていたことが大きな被害につながった、としている。しかし、同日同社から提出された再発防止対策については「おおむね妥当である」と評価、申請を待って設備停止命令の部分解除を行う意向である。 「中間とりまとめ」の主な内容は以下の通り。 [事故の概要] 平成12年8月1日午後10時頃、愛知県武豊町の日本油脂武豊工場で第12火薬一時置場に存置していた無煙火薬(7.7トン)が爆発。負傷者78名、家屋等破損888件(うち家屋の全壊12棟、半壊26棟)。 [事故原因] (1)無煙火薬の不適切な保管=a.火薬類の製造工程において法令上、一時的に製造途中の火薬を一時的に存置することができるが、工場ではいったん出荷して返品された製造工程外の無煙火薬を数年間にわたり一時存置していた。b.保管容器については、法令上基準は定められていないが、通常は劣化しやすいため、小分けして保管している。しかし同工場では作業性を重視した結果、他工場(最大で8.0キログラム)と比較して大きな容器(400キロ)で大量(最大324キロ)に保管していた。 (2)窓の遮蔽が不十分=無煙火薬は劣化しやすいため、温湿度管理が重要だが、同工場では技術的検証を十分行わず、窓の遮蔽カーテンに代えて窓ガラスを赤色塗料で塗った結果太陽光が差し込み容器温度が上昇した。 (3)安定度試験の未実施=無煙火薬は製造後安定度試験を行い、結果を都道府県知事に届けることが法令上義務づけられているが、同工場では試験や届け出を行っていなかった。 [講ずべき再発防止対策] (1)保安教育の充実(2)保安管理体制の強化(3)保安に関する規定類の整備(4)窓の遮蔽等構造の改善 [今後の検討の方向] 当委員会は今後、最終とりまとめに向けてさらに詳細な原因の分析、爆発メカニズムの究明、周辺への影響評価のための実験等を行う。 [設備停止命令の部分解除] 本日、日本油脂から同工場の事故再発防止のための「再発防止と保安の確立について」が提出された。その内容は、本中間とりまとめで指摘する火薬一般の製造に関する再発防止対策に照らし、おおむね妥当と評価される。 なお、今回事故の直接原因である無煙火薬以外の製造設備の一時停止命令の解除に当たっては、これが確実に実施される必要がある。 |