2015年03月31日
光触媒の水素製造で世界最高レベルのエネ変換効率達成
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:NEDO

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は31日、大手化学会社で構成する「人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem)」が太陽エネルギーを利用した光触媒による水からの水素製造で、世界最高レベルの太陽エネルギー変換効率2%を達成したと発表した。同プロジェクトのスタート前の最高変換効率は0.2%だった。

ARPChemのプロジェクトは、太陽エネルギーによる光触媒を利用して水を水素と酸素に分解し、分離膜で水素と酸素の混合ガスから水素を分離した後、その水素と工場排ガス等から回収した二酸化炭素を原料にC2-C4オレフィンを製造する基盤技術の開発がテーマ。

研究組合は201年、菊池英一・早稲田大学名誉教授を理事長とし5企業1団体(国際石油開発帝石、住友化学、富士フィルム、三井化学、三菱化学、ファインセラミックスセンター)で発足。経済産業省の委託費を受けて本格研究をスタートさせた。

研究期間は2021年度までの10カ年。第一段階の2014年度までの3年計画では、太陽エネルギー変換効率1%達成が目標だったが、現段階で世界最高レベルの2%を実現した。当初計画では2016年度に変換効率3%、2019年度に7%、最終年度の2021年度に10%の変換効率達成を目指している。

現在、プロジェクト実施体制は、光触媒開発部門で三菱化学、富士フイルム、三井化学、TOTO、国際石油開発帝石、東京大学の5社1大学、分離膜開発(水分解によって発生する水素と酸素の安全・高効率分離方法の開発)部門では三菱化学、ファインセラミックスセンターの2者、合成触媒(オレフィンを選択的に合成する触媒・プロセスの開発)部門には三菱化学、住友化学、東京工業大学の2社1大学がそれぞれ参加している。

■NEDOプロジェクト:二酸化炭素原料化基幹化学品製造プロセス技術開発