2015年04月08日
理研、海水での淡水性ラン藻培養に成功
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所は8日、淡水性ラン藻の海水培養に成功するとともに、海水培養の際にリシンやオルニチンなどのアミノ酸量が大幅に増加することを明らかにしたと発表した。
微細藻類を用いて糖やアミノ酸などの有用物質や代替エネルギーをつくることは、低炭素社会の実現につながる可能性があるため注目されている。

ラン藻は光エネルギーと二酸化炭素を使って光合成を行う細菌で、糖をつくるとともに、アミノ酸やバイオプラスチックなどさまざまな有用物質をつくることが可能になってきた。しかし、研究で広く使われて」いるラン藻は、淡水でしか培養できないという問題がある。このため、淡水を使わずにラン藻を培養することが出来れば、実用化に向けた大きなステップになると指摘されていた。

理研では、世界で最も広く研究されている淡水性ラン藻「シネコシスティス」を用いて人工海水による培養を試みた結果、海水だけでは増殖しなかったが、窒素とリンを加えることで、海水中でも増殖した。また、海水培養では、培養液中の水素イオン濃度(PH)が低下して増殖が止まってしまうが、酸性化を抑える緩衝液を加えることでPHの低下を抑え、増殖が改善することがわかった。

また、海水培養によって、リシンやオルニチンなどの有用アミノ酸の量が大幅に増加することがわかった。今回の成果は、ラン藻を使った有用物質生産の実用化に向けて、淡水利用の削減やアミノ酸など効率的な生産につなげる道を拓いたことになる。