2015年04月09日
理研と東大、肥満原因タンパク質の立体構造解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所の横山茂之上席研究員(生物学研究室)と、東京大学大学院の門脇孝教授(医学系)らの研究グループは9日、メタボリックシンドローム(内臓性脂肪症候群)のカギの分子であるアディポネクチン受容体の立体構造解明に成功したと発表した。

アディポネクチン受容体は、脂肪細胞から分泌されるホルモンであるアディポネクチンにより活性化され、細胞内で糖と脂質の代謝を促進し、抗糖尿病、抗メタボリックシンドローム作用を発揮する。
だが、アディポネクチン受容体は試料調整の難しさから、これまでその立体構造情報が得られていなかった。

共同研究グループは今回、大型放射光施設「Spring-8」を用いたX線結晶構造解析により、同受容体の立体構造解明に成功した。その構造から、現在までに知られている膜タンパク質の構造とは異なる新規の構造をしていることが分かった。

この結果は、アディポネクチン受容体の情報伝達メカニズムの解明につながるだけでなく、メタボリックシンドローム・糖尿病の予防薬や治療薬の開発に有益な情報となることが期待される。

同研究は文部科学省ターゲットタンパク研究プログラムなどの助成支援を受けて実施してきた。
研究成果の詳細は英国の科学雑誌「Nature」に掲載される。オンライン版は4月8日(日本時間 4月9日)に掲載される。