2015年04月14日
東レ、革新逆浸透膜開発で「化学技術賞」受賞
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:東レ

東レは、「新規分子・構造設計による革新逆浸透膜の開発」で、日本化学会から第63回化学技術賞を受賞したと発表した。同社にとって2年ぶり、14度目の「化学技術賞」受賞となった。

今回の受賞は、水処理膜技術として、高水質・省エネなどの機能を飛躍的に向上させた「革新的逆浸透膜」の開発とその工業化が評価された。同社は、1950年代から水処理用の逆浸透膜の研究を開始。80年代前半には脱塩性能と透水性能を両立する架橋ポリアミド複合膜を開発、現在、世界各地に普及が進んでいる。だが、水問題が深刻化する中で原水も多様化。そこでナノ、ミクロン単位の構造解析によって架橋ポリアミド逆浸透膜の構造を見直し、新たに高性能と耐汚染性を備えた革新逆浸透膜を工業化した。

同技術による逆浸透膜は、世界最大規模の海水淡水化プラント、下排水再利用プラントなどに採用されている。逆浸透膜の累計造水能力は1900万トン/日。約7600万人分の生活用水に相当する。


<用語の解説>
■逆浸透膜とは :濃厚水溶液と希薄水溶液を半透膜で隔てて接触させると、濃度差で生じる浸透圧によって希薄水溶液側から濃厚水溶液側に水が移動する。ここで浸透圧より大きな圧力を濃厚水溶液側にかけると、逆に水は希薄水溶液側に移動する。この現象を利用した膜分離法を逆浸透法、用いる膜を逆浸透膜という。
逆浸透膜は、ナトリウムやカルシウムなどの金属イオン、塩素イオンや硫酸イオンなどの陰イオン、あるいは農薬などの低分子有機化合物を除去対象としている。