1999年12月06日
蘭TNO、超高容量でもスチレンにエストロゲン作用なしと結論
新たな動物実験結果を日本スチレン工業会が公表
【カテゴリー】:環境/安全
【関連企業・団体】:日本スチレン工業会

 日本スチレン工業会は6日、化学物質の分析と健康影響に関する世界で最も権威のある試験・研究機関として知られるオランダ・TNOがスチレンダイマー(SD)と同トリマー(ST)のエストロゲン性について最近実施した動物実験の結果を明らかにした。
 この実験は、同工業会の委託を受けて実施されたもので、TNOのまとめによると、EDI(1日当たりの推定摂取量)の約1,000倍もの高容量領域までエストロゲン様作用がないことが確認できたという。同工業会は、今回に先駆けて昨年もTNOに動物実験を委託し、その結果、EDIの5倍の領域まではエストロゲン作用がないとことが立証できたとしてその概要を昨年12月の「第一回内分泌攪乱化学物質問題に関する国際シンポウム」(環境庁主催、京都)で発表して大きな反響を呼んだ。現在の厚生省、農水省、環境庁といった関係省庁は、いずれもポリスチレン製食品容器の安全性を認める見解を公式に表明している。これには、昨年明らかにされたTNOの実験結果をこれらの行政機関や専門家の多くが率直に評価したことも少なからず作用していると見られる。
 今回の実験は、EDIの1,000倍という超高容量領域まで踏み込んで動物実験(日齢18±1の雌ラットを1群10匹使用し、SDとSTおよびDESを4日間経口投与)したものだけに、広く関係各方面から注目されることになりそう。この実験データは欧州の専門学会誌に近く掲載される見通し。
 実験結果の概要は別表の通りで、サンプルA群、B群、C群ともブランク群との比較において有意な子宮重量増加、すなわちエストロゲン様作用が認められないことが確かめられたという。なお、SM、STのエストロゲン様作用については、エストロゲンレセプター結合試験、ヒト乳がん細胞増殖試験、ER/レポータ遺伝子転写活性実験のいずれにおいても否定されており、今回の結果もこれを強く支持しているといえる。