2015年06月02日
富士フイルム、フルカラーOLED、動作実証成功
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:富士フイルム

富士フイルムは2日、ナノエレクトロニクス技術の研究機関であるimec(本部:ベルギー)と共同で、サブミクロンオーダー(1ミクロンの10分の1)のパターン形成が可能な有機半導体用フォトレジスト技術を用いて、フルカラーの有機発光ダイオード(OLED)を作製し、その動作実証に成功したと発表した。有機ELディスプレイの高精細化や大型化、コスト的にも有利な製造方法につながる画期的な成果としている。

富士フイルムとimecは2013年、大型基板上で高解像度パターニングができるフォトリソグラフィー方式で、半導体材料へダメージを与えずにサブミクロンオーダーのパターン形成が可能な有機半導体用フォトレジスト技術を開発した。既存のi線露光装置を使用でき、新たな設備投資が不要であるため、コスト効果に優れた高解像度の有機半導体デバイスの製造が期待できるとして注目されてきた。

今回、両者は、有機半導体用フォトレジスト技術を用いて、フルカラーのOLEDを作製しその動作を実証した。
赤・緑・青の有機EL 材料をそれぞれ20μmのサブピクセルピッチでパターニングし、フルカラーOLEDを作製。さらに縦40個、横40個に配列して高解像度640ppiのOLED アレイを作製し、それにUV 光を照射した試験を行い、赤・緑・青の各色が分離して発光することを確認した。光を照射せずに電圧をかけた試験でも、赤・緑・青の全色の発光を捉えることができ、正常に動作することを確認した。

今後、複数回のパターニングを繰り返すことができるフォトリソグラフィー方式の特性を活かすことで、赤・緑・青に第4の色を加えたOLED アレイや、OLEDと有機フォトディテクタを融合させた新たなセンサーなど、これまでにないデバイスの開発に取り組む方針だ。


ニュースリリース
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1433213673.pdf