2015年06月02日
理研など、バセドウ病の発症予測バイオマーカー同定
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所は2日、東京医科歯科大学との共同研究チームが、移植や免疫反応に関わる遺伝子であるHLA遺伝子の個人差をコンピュータ上で高精度かつ網羅的に解析する「HLA imputation法」を日本人集団に適用するためのデータベースを開発するととともに、同法を大規模ゲノムワイド関連解析(GWAS)へ適用し、日本人のバセドウ病の発症に関わるHLA遺伝子配列の同定に成功したと発表した。

HLA遺伝子は、免疫関連疾患や精神病などさまざま疾患の発症に関与することが知られている。しかし、HLA遺伝子
配列の構造は複雑で、遺伝子配列の解析に高いコストを要するため解明が進んでいなかった。今回、共同研究グループは、HLA法を日本人集団に対して実施可能としたことで、日本人集団におけるHLA遺伝子配列の網羅的なビッグデータ解析を実現可能にした。

甲状腺機能の異常をもたらす自己免疫疾患であるバセドウ病を対象に、日本人集団のGWASデータにHLA法を適用した結果、複数のHLA遺伝子のアミノ配列の個人差によってバセドウ病の発症リスクが規定されていることが明らかになった。同定されたHLA遺伝子配列はバセドウ病の発症リスクを予測する疾患バイオマーカーとしての活用が期待される。