2015年06月08日
積水化学とミズノ、スポーツ施設企画・受注で提携
陸上トラックの地表温度低下へ新システム開発
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:積水化学工業
積水・久保(左)、ミズノ・樋口両氏

積水化学工業とミズノは8日、国内スポーツ施設等の新設・改修分野で業務提携することで合意したと発表した。

スポーツ施設やレクリエーション施設等の企画・設計・製品開発・施工・運営・維持管理分野で両社の強みを活かし、共同で事業展開する。5年後には年間10-20億円の事業規模に拡大させる方針。

両社は現在、陸上競技場、サッカー場、野球場などのグランド表面の温度を下げる新冷却システム「スポーツサーフェイス冷却システム」の共同開発を進めており、2015年度中の発売を目指して耐久性などの検証を急いでいる。。

新発売するサーフェイス冷却システムとは、地中下に水を通すパイプを施工し、地表の熱を低下させる仕組み。
陸上トラックなど、夏場の炎天下では地表温度が60℃にまで上昇し、選手のコンディションづくりに影響を与えている。熱中症の一因にもなっている。新開発した冷却システムはこの地表温度を15℃以上下げるのが目標。

記者会見した積水化学の久保肇取締役専務執行役員は「選手たちに安全・快適な場を提供したい。いい記録が出るのではないか。世界でも初めてのシステムと思う」と今後に意欲をみせたが、東京オリンピックとの関連について質問されると「タイミング的には一致するが、システムの完成が先だ。オリンピックのことは今は考えていない」と慎重だった。
ミズノの樋口良司取締役は「当社は全国722のスポーツ施設の運営に関わっている。総合スポーツメーカーとしての実績を活かしたい。これまでのテストで効果は確認できている。官民連携スキームの提案など受注活動に力を入れる」と取り組みに自信をみせいた。

両社また、多機能(防災)型スポーツ施設にも活かしていく計画。ふだんは安全なスポーツ施設として利用するが、災害など非常時にはライフラインとして活用するなど、スポーツ施設に避難所としての機能を付加することにより「社会問題解決ビジネス」に発展させていきたい考えだ。