2000年10月16日
三井化学、超耐熱ケイ素系樹脂の開発に成功
耐熱温度1,000℃、スーパーエンプラしのぐ性能
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学はこのほど従来のスーパーエンプラを上回る超耐熱性をもったケイ素系の特殊樹脂「ポリエチニレン・フェニレン・エチニレン」(MSP-1)の開発に成功した。さらに開発研究したあと、企業化の検討に入る。
 同樹脂は耐熱性に極めて優れ、1,000℃で焼成しても僅かに6%が分解によって減量するだけで、形状は保たれる。成形加工する場合の硬化温度は150~210℃、長時間使用した場合の熱変形温度は480℃以上で機械測定の限界を超えるという。スーパーエンプラの中では一般に「ポリイミド樹脂」の耐熱性がもっとも優れるといわれているが、「MSP-1」はこうした従来の樹脂がもつ耐熱性領域をはるかに上回っている。
 同社は、ケイ素樹脂をベースに酸化マグネシウムやバリウム化合物を触媒に使い、フェニルシランとジエチニルベンゼンを原料とする脱水素縮合法によって同物質の開発に成功した。
 現在、「MSP-1」を利用した新しい物性領域の複合材料、炭素材料、電子材料の合成を検討中で、将来は航空宇宙用として、宇宙ロケットの燃料噴射ノズルなどに使用できるという。
 研究は工技院の産業科学技術研究開発制度を利用し、10年前から実施してきた。
[工技院・物質工学工業技術研究所有機合成化学部長、田中正人氏の話]市販品の中では現在ポリイミドが最高特性をもっているが、「MSP-1」ははるかにこれを上回っている。コスト的な面が解決できれば応用範囲も航空宇宙分野からさらに一般的な電子材料回りとか半導体絶縁膜といった分野にまで広げられると思う。今後の展開が非常に楽しみだ。