2015年07月03日
経産省「通商白書」、“外で稼ぐ力”など検証
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:経済産業省

経済産業省は3日「平成27年度 通商白書」を発表した。同日閣議配布した。ポイントは、都市化や高齢化などの中長期的な課題を踏まえた上で、わが国産業の「輸出する力」、人や企業を「呼び込む力」、「外で稼ぐ力」を検証し、企業経営に参考となるよう諸外国の動向について分析し、戦略的な取り組みやあり方を提示した点にあるとしている。

白書は、(1)わが国の対外収支の変化と世界経済(2)日本を活かして世界で稼ぐ力の向上のために(3)内外一体の経済政策の展開、の3部7章で構成。

このうち第1部では「外で稼ぐ力の検証」の項で「日系海外現地法人の日本側出資者向け支払い(配当金とロイヤリティの合計)は増加傾向にある」とした上で「中国からの配当金が米国からの配当金に匹敵する水準になっている」と指摘。中国は米国などよりも配当性向が高いと報告した。

■中国からの配当金、米国に匹敵する水準に
だが、その一方で「そもそも、制約がない状態での海外子会社の配当の有無は、海外または国内のどちらに投資することがリターンを最大化するかという観点から行われるはずだ。それを踏まえると、内外で自由な経営判断が行われる状態を確保すること(ビジネス環境整備)が引き続き必要であるとともに、企業活動のグローバル化が進む中、成長のための資金が日本に再度投下されるよう、日本の立地競争力をさらに高めていくことが必要である」と述べている。

■低い日本の多角化企業の収益力
また、「日本企業の“ホーム市場”であるアジア太平洋市場における売上高成長率は他国企業より低く、その上、3大市場の全てで他国グローバル企業にシェアをとられている。多角化している企業と専業的な企業に分けて比較すると、日本の多角的企業は総じて成長性、収益性が低い。また日本の多角化企業群は、低収益部門の割合が他国の多角化企業群よりも高い」と分析。「世界のマーケットに伍していくには、事業分野の必要に応じた見通しと、多角化を高収益につなげる経営力を他国企業に劣らないスピードで発揮していくことが必要である」と説いている。