2015年07月08日
北大など、安価なコバルト触媒で水しか出さない合成法開発
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:科学技術振興機構

科学技術振興機構(JST)は8日、北海道大学と星薬科大学がJST戦略的研究推進事業の一環として、安価なコバルト触媒を利用し、工程も廃棄物を減らして有用分子を合成できる技術を開発したと発表した。

医薬品合成では、原料の目的位置の炭素-水素結合だけを触媒の作用でうまく活性化し、有用分子に化学変換する方法が有効だ。だが、高価なロジウム触媒を使用する従来の有用分子合成法は、アルコールの活性化処理工程が必要なため廃棄物が多かった。
今回、北大などの共同研究グループは、安価なコバルト触媒の酸素と結合しやすい性質を利用することで、アリルアルコールを活性化処理することなく、そのまま利用することに成功した。医薬品合成に有用な炭素パーツであるアリル基を原料の目的位置へ導入する反応でも、水しか排出されなかった。

今回開発したコバルト触媒技術は、ロジウム触媒よりも安価である点、アリルアルコールの活性化処理が不要になったため工程数を削減できる点、水しか出さずに有用分子を合成できる点で従来法よりも優れている。環境負荷の低減やコスト削減につながり、持続可能な医薬品製造プロセスの構築に貢献できると期待されている。