2015年07月21日
理研など、炎症性腸疾患で38カ所ゲノム領域発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所は21日、理研研究グループが参加する「国際IBDジェネティクス・コンソーシアム(IIBDGC)」が炎症性腸疾患(IBD)の発症に関わるゲノム領域を新たに38カ所発見したと発表した。

炎症性腸疾患は、消化管に炎症や潰瘍を起こす病気で、主にクローン病と潰瘍性大腸炎に分類される。発症に遺伝的要因が関係することで知られ、これまで欧米のグループを中心に発症に関わるゲノム領域が150カ所以上報告されている。しかし、アジア人など欧米人以外は患者数が少なく、報告されているゲノム領域はMHC領域とその他6カ所だけであった。

今回、ゲノムワイド関連解析(GWAS)とイムノチップ解析により、新たに炎症性腸疾患の発症に関わるゲノム領域を38カ所発見した。これらのゲノム領域には、自食作用や最近やウイルスなどの侵入を防ぐ腸管上皮バリア、免疫細胞の1つT細胞の応答性など、炎症性腸疾患のメカニズムを知るうえで重要な遺伝子が多数含まれていた。
また、遺伝子多型のアレル頻度や影響の強さであるオッズ比が人類ごとに異なっても、炎症性腸疾患の発症に関わるゲノム領域は欧米人と非欧米人で共通していることがわかった。
今後、ゲノム領域を詳しく調べることで、炎症性腸疾患の発症メカニズム解明や治療標的分子の絞り込みが可能になると期待している。