2015年08月11日
東大、染色体の整列をチェックする因子 新解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東京大学

東京大学の渡邊嘉典教授(分子細胞生物学研究所)と明楽隆志日本学術振興会特別研究員らは11日、染色体の整列をチェックする因子が整列を促進していたことを解明したと発表した。

細胞が分裂するときは、染色体がスピンドル微小管によってとらえられ、細胞の中央に整列する。このとき、整列できていない染色体が一本でもあると、その染色体の中心部分にある動原体にチェックポイント・タンパク質と呼ばれる因子が集積して「待て」のシグナルを発する。これにより細胞周期の進行が一時的に停止し、染色体が完全に整列するのを待つ機構がある。これにより細胞がが未成熟に分裂することを防ぐ。

この染色体の整列をチェックする因子(Mad1)について、相互作用因子を検索したところ、まったく予想外にこれまでスピンドル形成に必要とされていたキネシン5が単離された。これまで細胞周期を停止させる機能を持つとされていたチェックポイント・タンパク質がキネシン・モータータンパク質を動原体に呼び込み、染色体の整列を直接促進していることが明らかになった。この機構は酵母からヒトまで保存されていることも分かった。染色体の整列を促進する機構と、それをチェックする機構が同じMad1によって担われていることは理にかなっているといえる。

研究成果は「Nature Cell Biology」のオンライン版(8月10日)に掲載。