2015年08月26日
理研と横浜市大、タンパク質から世界最小の金属ナノ結晶生成
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所は26日、横浜市立大学院のジェレミー・テイム教授らとの共同研究で、金属と結合するピザ型タンパク質(完全6回回転対称型の構造を持ちイタリア料理のピザに似た形のタンパク質)を設計し、規則正しく配列した7個のカドミウムイオンと12個の塩化物イオンからなる世界最小のナノ結晶を作ることに成功したと発表した。

研究グループは、ピザ型タンパク質の変種として、金属と結合する性質を持つ「ピザ型タンパク質」を設計し、作製に成功した。これは、タンパク質が自己組織化する性質を利用したもので、予測通りの立体構造を持つタンパク質が作製できたことは、バイオミネラリゼーション(生物が体の内外に鉱物のミネラルを作る現象)によるナノスケール部品の合成の実現にとって大きな意味がある。

今回、ピザ型タンパク質の変種として、金属と結合する性質を持つタンパク質を設計した。X線結晶構造解析の結果、2つの3量体(2枚のピザ)に挟まれて7個のカドミウムイオンと12個の塩化物イオンが規則正しく配置したナノ結晶が形成されていることが分かった。このナノ結晶は、幅1・3nm×1・2nm、厚さ0・7nmのナット状の形をしており、これまで報告された中で最小のナノ結晶である。

これらの結果は、適切なタンパク質を設計することで、金属イオンの有無でタンパク質の自己組織化を制御したり、タンパク質による金属ナノ結晶の作製が可能であることを示している。今後、バイオミネラリゼーションのメカニズム解明や、タンパク質をナノスケール部品として用いる医薬品やバイオセンサーなどの開発への応用が期待できる。