2015年08月28日 |
京大、せっけんの構造で太陽電池 高効率化 |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:科学技術振興機構、京都大学 |
科学技術振興機構(JST)は28日、京都大学の大北英生准教授らが、せっけんに似た構造の色素を開発し、高分子太陽電池に高濃度導入することに成功し、変換効率を3割向上させたと発表した。 有機材料が吸収できる太陽光の波長幅は小さく限られているが、可視光領域以外の近赤外領域の太陽光を吸収できる色素(近赤外色素)を高分子太陽電池に高濃度で導入することで大幅な高効率化が期待できる。だが、導入した近赤外色素が発電に寄与するには、ドナーである高分子材料とアクセプターであるフラーレンの界面に色素が存在する必要がある。色素を高濃度で導入すると界面以外の領域に散在し、発電効率がかえって低下するという課題があった。 大北准教授らは、せっけんの親水基と疎水基を同時に持つ構造をまねて、ドナー材料と親和性の高い軸配位子とアクセプター材料と親和性の高い軸配位子を同時に持つヘテロ構造の近赤外色素を開発した。その結果、色素を重量比で従来の3倍導入することができ、変換効率もおよそ3割向上することに成功した。 今回の研究成果により、次世代の太陽電池として注目されている高分子太陽電池の限界効率を引き上げることが可能であり、実用化の目安である変換効率15%をシンプルな構造の単セル素子でも実現できると期待される。 |