2000年10月05日
三井化学とダウ、エチレン・スチレン共重合体で協調体制
日本の市場開発を三井化学が担当
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学とザ・ダウ・ケミカル・カンパニーは5日、ダウのメタロセン技術「インサイト技術」により開発した新規熱可塑性樹脂エチレン・スチレン・インターポリマー(ESI、共重合体)について、日本での市場開発を三井化学が実施することで合意した、と発表した。
 ESIは、エチレンとSM(スチレンモノマー)、さらにこれ以外のモノマーをオプション的に共重合させることにより生産する樹脂で、応力緩和性(力により生じた材料の変形が、時間とともにゆっくりと元の経常に回復する性質)に優れ、多量の無機充填材を加えても柔軟性と加工性を維持できるなど、他の樹脂にはない特徴を有しており、新たな用途の創出が期待されている。
 今回の協調体制により三井化学は、高付加価値で高成長が期待されるESIの事業開発を日本市場で行うことができるようになる。一方、ダウは最近、オンタリオ州サーニアに年産5,000万ポンド(約2万2,700トン)のESI製品開発設備を新設しており、引き続きグローバルな顧客と広範な用途開発を進めていく考え。
 両社は、オレフィン重合触媒とメタロセン系エチレン共重合体の開発、事業化における世界的なリーダーであり、この数年間様々な技術分野で補完的な協調関係を続けている。昨年にはメタロセン系エチレン共重合体に関する特定の特許について、相互にライセンスし合うことで合意している。
 なお、両社のコメントは次の通り。

[ダウ ESI開発管掌、ビジネス・グループ・プレジデント Romeo Kreinberg氏]
 ダウは、両社間の強い協調関係、三井化学の日本市場における樹脂メーカーとしての高い評価と日本市場での顧客対応能力を評価し、三井化学をESI開発のパートナーに選んだ。今回のこの強調は、成長が期待されるESIの可能性を両社が確信していることの表れであり、両社の優れた技術能力と事業化能力を生かし、需要と製品の開発を加速するのに有用である。

[三井化学専務 樹脂事業本部長 榊由之氏]
 ダウが日本市場開発のパートナーとしての当社の能力を評価していることに感謝したい。ダウが開発したESIは、そのユニークな特性から新しい市場を創り得る、極めて有望な樹脂と考えており、両社の樹脂事業の差別化・多様化にも大きく貢献すると期待している。ダウの期待に沿うように日本での市場開発に努力したい。当社のESIの市場開発を強化するため、新たな全社SBDUとして、10月1日付で樹脂事業本部内にES開発室を設置した。