2015年09月18日
東北大、長期的運動 糖尿病性腎症改善に有効
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

東北大学院医学部の伊藤大亮助教らの研究グループは18日、長期的有酸素運動が糖尿病性腎症を改善することを科学的に立証し、そのメカニズムを解明したと発表した。

運動療法は、糖尿病に対しては高血糖を抑えたり血糖を下げるインスリンの感受性を改善する効果を示し、治療法として有効とされている。だが多くの臨床現場では、運動療法は推奨にとどまり、薬物治療が優先されている。運動療法の有効性のメカニズムとしてインスリンを分泌する膵臓機能の改善が一部解明されているが、重要な合併症である糖尿病性腎症に対する有効性やそのメカニズムはよく分かっていなかった。

今回研究グループは、2液糖尿病肥満モデルラットを用いて長期的有酸素運動による糖尿病性腎症改善と、そのメカニズムを初めて明らかにした。トレッドミルを用いて長期間運動を2カ月間(1日60分、週5日)行い、腎組織の糖化ストレスの変化について調べた。その結果、2液糖尿病肥満に対する長期的有酸素運動は、一酸化窒素の増強、酸化ストレスと糖化ストレスの軽減を介して、腎障害を改善することが分かった。

近年増加するメタボリック症候群の代表的な疾患である糖尿病や、肥満における腎障害進展に対する運動療法治療の推進に、きわめて有用な知見になることが期待される。

同研究成果は9月17日(米国東部時間)、「PLOS ONE誌」(電子版)に掲載される。