2015年10月30日
「日中の協力必要」両国業界首脳が会見
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:石油化学工業協会、日本化学工業協会
会見する左から趙、小林、淡輪の各氏

29日夕方、「日中化学産業会議」を終えた日化協の小林喜光会長(三菱ケミカルホールディングス会長)、淡輪敏石化協副会長(三井化学社長)、CPCIF(中国石油・化学工業連合会)趙俊貴副会長の3氏は、さっそく記者会見会場に表われ、会議の成果や今後の展望などを語った。3氏とも「日中協力は必要」と口を揃えた。

◇小林氏 :中国が第13次5カ年計画も含めて、石炭化学などの基礎部門や汎用製品だけでなく高機能なパフォーマンス・ケミカル志向が高いこともよくわかった。石化業界はいま厳しい局面にあるが、中国の人たちは逆にチャンスととらえているようだった。まだこの先デマンドはある、技術もあると前向きだった。元気をもらったという感じがした。
これからも協力していきたい。

◇趙氏 :失礼な言い方だが、日本はそれほど資源があるわけではない。市場も大きくはない。だが優れた技術と管理能力を持ち、産業界で重要な位置を占めている。一方、中国の化学工業は国際経済と方向性を一致させながら発展してきた。現在、生産規模や品種で世界トップレベルにある。国民の生活向上に大きな役割を果たしてきた。だが現在は、設備過剰の問題を抱えている。生産もスローダウンしている。日本との協力は非常に重要だ。ウィン・ウィンの関係を構築していきたい。

◇淡輪氏 :中国の化学産業についていえば、国の13次5カ年計画をベースに中長期の視点に立ち、明確な目標をもって展開されていくと思う。石炭ベースの化学にも力を入れておられる。今はまだ石油系に比べて苦しいだろうが、5~10年後には有利になるだろう。安全や環境にも高い意識をもっていることがよくわかった。日本からもこれらの情報は提供できると思う。


3人の冒頭挨拶に続いて質疑応答に移った。趙氏には供給過剰問題への対応や、工場事故の多発に関する質問が続いたが、供給過剰問題については「大規模な投資が相次いだために発生したが、段階的な問題と受け止めている。国としては13次5カ年計画の中で環境規制を強化するなどの方針を打ち出しており、設備投資は抑制される方向だ。5カ年計画終了時には改善されていると思う」と答えたあと「これは中国だけでなく、他の国にもある問題だ」とつけ加えた。

また、事故の多発問題については「石化製品は日常生活に欠かせない商品になっている。このため事故はすぐ報道され、増えているような印象を与えている。統計上は事故率は減っているのが現状だ。工場は2万9000あり、安全管理には大変な努力が必要だ。政府は環境規制や安全基準を強化し罰則を厳しくするなどの対策をとっている」と強調した。さらに「今後日本からは安全対策やその取り組み、理念、人材教育、訓練など全てを学びたい」、「午前中に三菱化学本社のショールームを見せてもらった。会社も社会もみんなが快適でなければいけないと痛感した」などと通訳を交えながらも、受け答えは丁寧だった。