2000年10月03日 |
出光石化、千葉のPTCにプレゼンテーションサイト開設 |
今後はIT活用でユーザーとのネットワークを構築 |
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品 【関連企業・団体】:出光テクノファイン、出光ユニテック |
出光石油化学は、千葉工場のPTC(樹脂開発センター)に顧客とのFACE TO FACE機能の充実化、また営業前線基地としての機能を強化するため、7月にプレゼンテーションサイトを開設した。PTCでは、材料技術、設計技術、加工技術の3要素を追求、ユーザーと共同で社会に価値ある「もの」作りを目指していく考えで、今後はさらにITを活用したユーザーとのネットワーク作りを進め、強化を図っていく方針。 出光石油化学・千葉工場は、樹脂を中心とした生産拠点であり、PTCのほか、樹脂研究所、生産技術センターの3つの研究開発施設を擁している。さらに千葉地区には、子会社の出光ユニテックの商品開発センター、出光テクノファインのテクニカルセンター、カルプ工業の複合研究所などがある。 3つの研究開発施設の役割は、PTCが材料改良開発、加工技術開発、設計技術、用途開発、テクニカルサービスを担当、ユーザーとの窓口となり、樹脂研究所は重合および触媒技術の研究および樹脂構造解析などを行う。また生産技術センターがプロセス開発、工業化技術の研究などを行い、これらの結果、工業化設備で生産された試作品は再びPTCにフィードバックされ、さらに開発に活かされることになる。 このなかでプレゼンテーションサイトは、PTC(今年4月に旧応用研究所から改称)の事務棟を改装して7月から運営をスタートした。ユーザーに開かれたオープンラボをコンセプトに、開発サイトとリンクしPTC内のホストからどの場所からでも物性データなどの必要な情報を入手できる。現在樹脂は、自動車分野では軽量化、家電分野では薄肉化などのニーズが高まっているが、汎用樹脂からエンジニアリングプラスチックまで1社で展開していることが同社の強み。プレゼンテーションサイトの特長について、PTCの室谷定一所長は、「直接ユーザーとの間で開発品を見ながら横展開できるとともに、その場で技術を確認できることだ」と語る。PTCへの来訪社数は1997年には150社であったが、1998年は200社、1999年には320社と増加しており、2000年度には350社が訪れると見込んでいる。 プレゼンテーションサイトには、プレゼンテーションルームやミーティングルームのほか、展示ルームあり、特に展示ルームは、需要分野ごとに実際の製品を展示するほか、CAEの体験コーナーを備える。同社はCAE技術の開発に力を入れており、豊富な物性データ-の蓄積とコンピューターによる解析技術をベースに樹脂の強度解析や流動解析などを何度でも繰り返して行うことができるため、これまでトライアル&エラーにより時間とコストがかかっていた樹脂の開発期間を短縮できる可能性がある。特に射出流動解析では、独自のソフト「IDMS-Flow」(本体価格120万円、保守・サポート・実用化フォローは別途年間60万円)を開発、今春から外販を開始している。 プレゼンテーションサイトの今後の展開について室谷所長は、「ITの活用をテーマに、ホームページによる技術相談などを行っていきたい」として、よりユーザーとの密接体制で、ネットワークを構築していく考え。 なお9月29日には、同社の本社がある国際ファッションセンタービル(東京都墨田区)において、「第8回出光加工技術セミナー」を開催、200名を超える参加者を集め、盛況だった。 <参考> http://c-nt.co.jp/news/murotani.jpg> 樹脂開発センターの室谷定一所長 http://c-nt.co.jp/news/idm_tenji.jpg> 環境関連や機能樹脂分野などの開発品を見ることができる展示コーナー http://c-nt.co.jp/news/idm_cae.jpg> CAE体験コーナー |