2015年11月11日 |
信州大、汎用性セルロースの高強度ゲル形成成功 |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:科学技術振興機構 |
信州大学大学院の木村睦教授(理工学研究科)がの研究グループは10日、汎用性のあるセルロースの高強度ゲル形成プロセスを発見したと発表した。セルロースを石油、酸・アルカリなどを用いる化学処理を必要としない方法で加工し、高強度なセルロース材料として様々な形態に成形できる。 セルロースは植物組織構成分の1/3を占め、地球上に最も多く存在する有機再生可能資源。これまでレーヨンなど繊維製品原料などとして利用してきた。だが、セルロースは分子間の水素結合が固いため溶解するのが難しく、セルロースを多様な形態に成形するには二酸化炭素など環境負荷の高い溶媒が必要だった。 信州大の研究グループは今回、木材由来パルプをイオン性液体に溶解させ、溶解した液を型に流し込み、アルコール蒸気に1時間程度晒すことでセルロース間に水素結合が生じ溶液全体が固化(ゲル化)することを突き止めた。このゲルを水に漬けることで溶媒が置換され、水を95%以上含むセルロースハイドロゲルを創成することに成功した。寒天に比べて非常に高い強度を持ち、取り扱いが容易。また生分解性があリ、マイクロメーターサイズのパターン成形が可能なことなど、高い機能性を有することを確認した。 さらに、アルコール蒸気を用いた湿式紡糸法によって95%の水を含むセルロースハイドロゲルを連続的に紡糸することに成功した。これを織ることで二次元状の布に成形することもできた。ストロー状の中空糸への成形にも成功し、膜としての高い透水性を確認した。再生セルロースの中空糸膜への展開が可能となった。 同研究成果は、科学技術振興機構(JST)が推進する「センター・オブ・イノベーション(COI)プログラムの一環として得られた。 |