2015年11月18日
生物研、「いもち病」に対する抵抗性誘導剤の効果低減要因を解明
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農業生物資源研究所(生物研)は、「いもち病」に対する抵抗性誘導剤の効果が低温で発揮できない原因を解明したと発表した。
稲作で最も深刻な被害をもたらすいもち病は、糸状菌(カビ)であるいもち病菌の感染によって引き起こされるが、低温多湿な条件で感染しやすく、冷害の年に大発生することが多い。

いもち病の予防には、抵抗性誘導剤を散布することが有効である。しかし冷害の年は、抵抗性誘導剤を散布しても、いもち病が大発生することが問題になっている。今回、生物研は、いもち病に対する抵抗性誘導剤の効果が低温で発揮できない原因の分子メカニズムを解明した。

抵抗性誘導剤はイネの病害抵抗性を高めるために必要な遺伝子を活性化することが明らかになっていた。今回、低温になると、その遺伝子の作る病害抵抗性を高めるタンパク質の働きを阻害する酵素が作られ、その結果、抵抗性誘導剤の効果が弱くなることがわかった。
その酵素を創る遺伝子の働きを抑制することで、低温でも抵抗性誘導剤の効き目があり、いもち病に強いイネを開発することができる。このイネの開発により、低温でも抵抗性誘導剤によりいもち病を効率よく防除することが可能となる。