2015年11月20日
京大、金属構造材料の変形挙動で新発見
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:京都大学

京都大学は20日、辻伸泰教授らの研究グループが、銅-アルミニウム(Cu-Al)合金において、高い強度(通常粒径材に比較して5・6倍の降伏応力)と延性(引張伸び40%)を両立できることを発見したと発表した。この現象は従来の理論だけでは説明できないものであり、「強さ」と「ねばさ」を兼備した材料の開発に新たな視点を提唱するものだとしている。

金属材料で高い強度と大きな延性を両立させるためには、変形後期まで十分な加工硬化特性を持たせることが必要である。京大の研究グループは、Cu-Al合金では通常の転位の他に積層欠陥や変形双晶が塑性変形の担い手として活発に活動することで、高い加工硬化率が維持され大きな延性が実現されること、また、粒径によって転位、積層欠陥、変形双晶の活動が変化し、それに伴って加工硬化挙動が大きく変わることを世界に先駆けて発見した。
とくに、超微粒材で積層欠陥や変形双晶の発現が活発化するという結果は、従来の予想とは逆のものであり、粒界から積層欠陥や変形双晶が新たに核生成する超微細粒金属(バルクナノメタル)特有の現象と考えられる。

これを理解するためには、従来の理論(転位論)だけでは不十分であり、新たな視点で解明していく必要がある。そうした基礎的理解が進めば、従来理論では限界があるとされていた「強さ」と「ねばさ」を兼備した材料が幅広い合金系・材料系で実現され、構造材料の世界に飛躍的な革新をもたらすと期待される。