2015年11月26日
京大、レーザーで作る光の結晶格子で世界初平坦バンド実現
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:京都大学

京都大学の田家慎太郎特定助教(理学研究科)らの研究グループは25日、レーザー光を組み合わせて作る光格子においてリープ(Lieb)格子と呼ばれる特殊な結晶構造を実現し、そこに極低温の原子気体を導入した系で、物理学の難問である遍歴強磁性の解明に役立つと信じられている「平坦バンド」の性質を観測することに世界で初めて成功したと発表した。

近年、光格子と呼ばれる人工の結晶をレーザー光で作る技術が確立され、物質が低温で示す特異な性質を極低温の原子気体を使って調べようとする研究が注目されている。

田家特定助教らの研究グループは、リープ格子と呼ばれる格子に着目し、光格子系の持つ高い制御性を最大限に生かした量子状態制御を行うことで、今回の世界に先駆けた研究を実現した。

この研究で用いられた光格子は、非常にシンプルで、従来にない自由度と精度で実験条件を設定可能であり、固体物質における複雑な物理過程の本質を抽出して研究する量子シミュレーターとして機能し、現象のより深い理解に寄与することが期待される。

この研究成果は、米国科学雑誌「サイエンス・アドバンセズ」11月20日に掲載された。